あお くろ ぎんいろ。

ぽつっと、ひとりごと。 たまに、しゅみをつめこんでみる。

2024.10.15_真島文吉さん著『右園死児報告』が激アツアクション小説すぎて泣いた話(ネタバレ全開)

 

 
 
 
こんにちは。
書き溜めた文章がたくさんあるのですが、ひとまずこちらから。
『右園死児報告』がホラー小説だと!?嘘だろ!!!激アツ展開しかないアクション小説だろ!!!
全人類、是非読んでください!!!
という話です。
 
 
最初は確かに、「右園死児」にまつわる淡々とした報告が続くのですが、この「淡々とした」というところにも意味が伴ってくる。
例えば、「右園死児化が見られたため、処分」のような、冷淡とも言えるたったその「処分」という一言に、人ひとりの命がこんなにも軽々しく扱われてよいのか。という疑念が湧いてくる。
それが大きなうねりを呼び…という物語です。
また、一見ばらばらに見える報告一つ一つが徐々に繋がりを見せ始める。
報告を筆記していた人たちの、生きた感情が見え隠れし始める。
人間は「右園死児」が存在する世界において、どう生きていくのか。
「右園死児」はあくまでフィクションですが、現実にもリンクする部分がある。
どの立場にいる人物たちでも、彼らの言葉はそれぞれに重く、「敵」に立ち向かっていく人々の姿が眩しく、途中からはもう怒涛の展開で、涙なしには読めませんでした。
 
 
こういうのを読むと、全部まとめたくなる性分につき、ネタバレありで記事を書いていきます。
というか、最初から最後までネタバレ全開です。ご注意ください。
実は…みたいな部分も普通に書いてしまっています。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さて。
最初に書いておきたいのはこれです。
錯覚的首吊り死体だけ分からん!!!
ちょっ、雨影の頭が馬鹿なだけなのかと思いますけれども、あれだけ分かりません!!どこと繋がっている話ですか!?どなたかご教示ください…。
 
 
(1) 右園死児とは
言語・文字列が殺傷力を持つ。人間を滅ぼそうとするもの。
鹿田丸曰く、右園死児とはただの現象としての災害であり、病のようなもの。
人間は病がどこから来て、なぜ自分たちを蝕むのか、病自体の存在理由を理解しているわけではない。
ただ、その症状と被害を研究し、個別に対応するだけ。
右園死児自体、自分が何者かを知らない。しかし、人間を蝕むのは自らの意志(本能ではない)。
神谷は、カタコンベ最下層の社にて、かつて人類の誰かが出会ってはいけないものに出会い、血を混ぜた。
それが人の味を知り、人類を模倣し、成り代わり、その未来を奪って人間の座につきたいという意志を持った。と考えた。
 
 
 
(2) 主な登場人物
神谷 修二
探偵。ある画家に雇われ、画家の屋敷を徘徊する何者かの足音を追跡。足音の元には、常に同じ油絵。
以来、神谷はこの足音が常に聞こえるようになる。
(この事件は、冴島により、昭和、あるいは大正や明治に起きたものではないかと推測されている。)
この足音は、右園の姫君のものであり(と推測される)、右園死児に対する守護となっている。
聖域出現後、その特性を独自調査。聖域内に立ち入った人間は腐敗か変異体化するというのが定説であったが、災害誘引力同士の中和性質に気付き、右園死児か、それに近しい者であれば、潜入可能であることを発見した。
ただし、あくまで超自然的な変状や死を免れるだけであり、また、明確に右園死児化していない者の防御力には個体差がある。
田島からの私信を受け取り、そこには「人間性を失うな。さもなくば、死ね。それが人間の生き方だ」と書かれていた。
さらに、神谷は牧野に右園死児に関する調査を強制されており、その人質として神谷の姉の子孫を持ち出した模様。
田島は、彼女の生存している場所を知らせ、もう人質ではないことを教えてやれと告げられる。
エツランシャとの決戦の最中、彼の手から刀剣が離れ、遺体(大型)に突き刺さっているのを発見し、一度振るえば、人間ではなくなることが頭を過ったが、使用を決意し、刀剣の元に走る。
しかし、売春婦がその前に現れ、兄である遺体(大型)から刀剣を受け取る。
彼女の手首ごとエツランシャによって切り飛ばされるが、神谷がその手首を受け、エツランシャの心臓を貫く。


冴島 将吾
軍調査班員。蛆主宿儺(うじぬすくな)という名の神仏が祀られる山村からの通報を受け、現地に赴く。
御神体の鏡に『う俗のみや』の彫り文字が確認されたため、押収の後帰る際、武装した村人たちに襲撃される。
後続班に救出された唯一の調査員。
神谷と共に右園宮を探索し、死児を発見した際、毛髪が白色化した。
その後、ブラインドマン部隊に志願し、任務に就く。
関西地方に派遣された際、蛆主宿儺との決着をつけるため、突如、軍の制御から離れ、単独行動。
蛆主宿儺の本体(死児)と交戦し、戦死。
 

田島 茜
軍研究員。右園死児研究の第一人者。
売春婦から、「右園死児を理解することなく、右園死児によって殺される」ことを予告され、それを防ぐ唯一の手立てとして、「右園死児になる」ことを教えられる。
しかし、「人は、人であることをやめた瞬間に、死ぬ」「人間は人間として存続する。さもなくば、滅ぶべき」という信念を貫く。
聖域出現後、牧野の別邸にて彼が隠匿した重要資料を調査していたが、数点の資料を持ち出し、失踪。
軍収容施設が襲撃された際に移送した封印用生体や右園死児関連物と共に、牧野の監獄に移動した。
そして、右園死児となった三田倉をブラインドマン化することで制御し、兵器利用するつもりだった。
併せて、同施設の戦術資源を聖域攻撃までに高度に調整した後、戦線に投入する予定だった。
しかし、災害誘引力によって、ブラインドマンとなる自認識潜没ヘルメットが故障しており、三田倉は発狂したまま、制御不能となる。
自身が殺されれば、無人の施設から三田倉が外に出てしまうため、それを阻止しようとするが、既に瀕死。
死の間際、売春婦がその場に現れ、三田倉を抑えることに成功する。
最期に、冴島の手記のラベル裏に神谷宛の私信を遺していた。
 

小向 夜子
都内高校生。
学校でのいじめで「右園死児」と呼称され、返事をすることを強要され続け、約8ヶ月後、瞳を消失。右園死児化を自己申告し、軍病院の隔離区域に入所。
軍病院での訓練などを経て症状が安定しており、極めて軽度の右園死児かの一例として整理。
その後、定期検査のために病院を訪れていたところ、金輪部隊の襲撃を受け、大西と共に脱出。
ウグラ1に救出され、軍キャンプに合流し、戦線に投入される。
戦闘終結後、ウグラ1の居住するアイスランドで休暇中。


大西 真由美
地方紙ライター。『遺体』における唯一の生存者。
遺体は地上においても大西を追跡するため、軍によって遺体とともに収容された。
その後、明石の手記と右園死児について、大門にインタビューを行った模様。
しかし、この時点で大門が死亡した人物であることから、措置入院
金輪部隊に施設が襲撃されたことにより、小向と共に脱出。
軍キャンプに合流し、歩く遺体と共に戦線に投入される。
戦闘終結後、『賞味期限切れトーキョーあっためなおし』という番組を旧首都放送局で流している。
なお、この番組には、毎回彼女とは異なる言葉が混線する。
また、自伝を執筆し、発売している。


三田倉 九
明治政府における右園死児研究対策の最大責任者。
明治政府崩壊後も、右園死児を拡散悪用する人間、案件発生の責任者への厳罰化を行ったが、数々の非合法措置と行為が問題視され、政府から追われる。
その際、右園死児に関連するシステムのほとんどを改悪、制度法案に悪意あるノイズを仕込む。
また、現在1,200件近い右園死児に関する案件報告を廃棄。
晩年、自身の姓名を右園死児に改名し、行方不明となる。
その後、青森県の海岸に打ち上げられた鯨の体内から発見された。
その際、死亡しておらず、牧野によって回収され、牧野が用意した監獄に収容されていた。
当初、知性の無い軟体動物のように振る舞い、牧野の監獄に運び込まれてからの1年間も無害な抜け殻になったふりをしながら、逆に牧野を観察し、電話を通じた政治家との話、右園死児対策の技術的な話、生体封印、ブラインドマン、それらの国家機密を全て聞いて理解していた。
そのため、檻の開け方も知っており、僅かな隙を突いて、蛸のように体を滑らせて脱出。
その場にいたエンジニアの内臓や、牧野の腎臓を奪った。機関銃の一斉射撃も一切効かない。
田島によってブラインドマン化が試みられたが、災害誘引力で故障しており、発狂。制御不能となった。
しかし、発狂状態となり弱ったこと、かつ、その場に現れた売春婦の敵対者懐柔能力により、売春婦の下僕と化したことから、売春婦の固有戦力として戦線に投入されることとなった。
売春婦の指示に従い、金輪部隊変異体を始めとした敵勢力を撃破。
変異体との戦闘のため、ほかの潜入チームと別れることとなり、その後追跡もしてこなかったが、エツランシャとの決戦の際、空中電波塔の外壁を素手で登り、姿を現す。
そしてエツランシャと死闘を繰り広げた後、頭をヘルメットごと捥ぎ取られ、死亡。
 
 
火麻谷 一郎
政府は、右園死児対策の一つとして、右園死児を人名として採用する行為の阻止を徹底している。
しかし、火麻谷は自らの子ども3人を秘匿し、子どもたちを右園死児と呼称して育てる。
子どもたちは15年後、火麻谷の元から巣立ち、消息不明。
また、動機については、火麻谷が黙秘したまま存在洗浄されたため、不明。
後に、売春婦は推測として、自身の血脈が右園死児に殺されないよう、子どもたちを右園死児にした。つまり、災厄に殺されない立場になるために、災厄と化す、という発想だった、と述べている。
(三田倉が右園死児に改名したのも同じ動機。)


売春婦
都内に出没した、右園死児を自称する売春婦。
売春婦に関わった者は一様に捜査に非協力的で、捜査が難航する中、警察官の数名が行方不明となる。
ブラインドマン部隊により、行方不明者全員を発見。都内廃ビルにて、退廃的な行為に興じており、売春婦もそこにいた。
警察官たちは売春婦に従者のように付き従い、彼女の収容後も傍を離れない。引き離すと狂乱状態に陥るため、共に収容。
身長2m20cm、体重150kg、体毛と爪の存在しない醜女。
売春婦自身は物腰穏やかで協力的だが、思想洗浄、精神洗浄、存在洗浄、いずれも不可能。
彼女に害を与えようとする者は、逆に彼女に強い好意を抱くか、発狂する。
火麻谷一郎の子どもの一人。
彼ら三人は日本を離れ、火麻谷一郎からもほかの右園死児からも逃げたかった。
だから、兄(遺体(大型))も空港にいたし、鳥は満足したから再浮上しない。
売春婦自身は、海の向こうでひとり立ちする自信がなく、怖かったから踏み出せなかった。
しかし、兄弟にできるなら自分にもできると思えたため、海外で兄を待つ、と述べた。
右園死児としての本能が見せる予感として、相手の死に顔が見える模様。
田島からの聴取翌日、消失。売春婦に付き従っていた警官たちは発狂死。
その後、三田倉を抑えようとしながらも命尽きようとしている田島の元に現れ、その能力で三田倉を懐柔。
三田倉を従えて戦線に投入される。エツランシャとの決戦時、兄である遺体(大型)に突き刺さった刀剣を「一緒に帰りましょう」と微笑みかけ、手にした直後、エツランシャによって手首ごと切り飛ばされる。
エツランシャが空中に溶けた後、刀剣を舞台に持ち帰り、神像の右園死児を刺して回った。
最後に遺体(大型)を指すと、遺体と刀剣が蒸発。身元不明の大男が確認される。
戦闘終結後、兄と共にイタリア某所の海岸に現れていた模様。


朝倉 光雄
軍研究員。
右園死児に戦力対抗するに際し、人的犠牲を伴わない兵士が必要との軍上層部の意向を受け、完全自動化したAI兵器(ブラインドクーガー)を試作。しかし収容済みの右園死児の識別データを試験配信したところ、自己判断により周囲の研究員を射撃。試験場から脱走するなど、異常が発生したことから、計画は廃棄された。
聖域出現後、神谷の聖域潜入可能性に関する報告を受け、聖域内に潜入するメンバーを選定するためのテスト方法を考案。
また、聖域の災害誘引力(腐食効果)の影響下にあっても使用できる銃器を試作し、潜入メンバーに託した。
最後の仕事として、戦闘終結後、地上に人造ブラインドマン(ロボット)を、ひとまずの治安維持戦力、人的犠牲を伴わない、次世代のブラインドマン部隊として製作した。
戦闘終結後、要職に就かず、地下に潜って生活している。
彼曰く、「クソみたいな地上より、ずっとマシさ。義理と人情がある。最後の楽園だ」とのこと。
そして、聖域攻撃のときにひたすら追っていた折り鶴を、嘘を吐かずに生きていくという誓い、お守りとして所持している。


冴島 時男
冴島将吾の父。軍人。
聖域潜入チームを聖域境界まで運ぶトレーラーを運転する役割を負う。
しかし、計画は外部に漏れており、おわりの巨人信徒が人間の壁となって進路を阻む。
そのため、冴島はトレーラーでこの壁に突入。走行不能になったトレーラーから車外に出て、信徒を作戦障害物として殺戮した。
戦闘終結後、牧場に住み、潜入チームの皆や、雪村、熊沢たちを招待して、ちょっとしたパーティを催し、自分たちにしか分からないことを確かめ合うのが余生の楽しみだと述懐する。


雪村 瞳
国家保安局捜査官。
右園死児の情報を狙い国内活動していたスパイグループのリーダー格、アルメイダ・リヨンを追跡。
スパイ活動の成果とみられる、発光する脊髄を吞み込んだリヨンを撃破した。
エツランシャや金輪部隊との戦闘においても数々の活躍を見せ、終結後、暫定国軍の副長官に就任。


熊沢 慎太郎
帝都大学学長。
右園死児報告体系が初めて捕捉した、明治25年の最初の右園死児に関する案件の資料を回収。
明治政府内に右園死児という名の内務大臣が存在し、案件として整理されていた事実を『秘密報告』として報告。
日本中枢に、得体のしれない右園死児に極めて近しい存在がおり、これらを解き明かすため、情報と協力を求めた。
しかし、本秘密報告を受け取った者には厳重な緘口令が敷かれる。
エツランシャ出現後、エツランシャに監視されている右園死児報告は役に立たないことから、エツランシャ撃破後の世界においても運用できる情報体系を遺すため、新たな調査報告体系『右園死児報告甲』を発足。
戦闘終結後、暫定国軍の長官に就任。


橋田 四郎
ブラインドマン部隊(右園死児を破壊するための軍特殊部隊)の一人。
刀剣の脅威度測定実験の際、6度の素振りを実行し、血圧が消滅した。
彼は、刀剣を兵器として扱う専用のブラインドマンの製作サンプル第一号となり、
自発的血流は完全に停止し、右園死児的影響を強く受けながらも、人工臓器群により疑似的に生存。
聖域内における戦闘力として、また、エツランシャから刀剣を奪取した後に刀剣を兵器利用する媒体としての活躍が期待され、戦線に戦力として投入されることとなった。
神谷と共にエツランシャと戦闘するものの、右腕、首を切断され、死亡。
 

エイナル(ウグラ1)
アイスランド外務省所属『危機対策特殊部隊』の一員。
エツランシャ出現後、大使一家を救出するため潜入。大使は大使館の職員のほか、小向と大西を保護していた。
彼らを守り、小向及び大西を軍キャンプに送り届けた後、帰還する。
 

牧野 周平
右園死児報告を検閲する権限を非公式に政府から与えられた官僚。
直属の粛清部隊をも所有し、自身がノイズと判断する情報を報告体系から消去、あるいは隠蔽するなど、右園死児対策を影から誘導、操作していた。
このようなことが許されたのは、三田倉の再来(=根源的対策のしようがない右園死児への対策をほぼ一人で担った英雄)を政府と軍の代表者たちが強く望んだため。
エツランシャ出現後、長野県の牧野の別邸内地下室にて、彼が秘匿していた重大情報が回収される。
この時点で、牧野は故人。
一方で、政府にも無断で、報告一号の貯水池の地下に、軍の収容所とは別に右園死児の飼育小屋(監獄、ギャラリー)を稼働させていた。
飼育小屋に収容されている右園死児は5体。ほぼ全てが三田倉による廃棄案件の関連物。
動機を田島は次のとおり断言する。牧野は、右園死児に関わり、その過程で犯した罪の報いを恐れ、自分だけの特別な「お守り」(ほかの誰も握っていない、特別な情報、資源、脅威)を欲した。
施設内には、自動化された私設ブラインドマン部隊の警備システムがあった。
飼育エリアの一つに、スパイ・リヨンが脊髄を持ち去った、輝く人間の全身骨格が残存。
盗んだ三田倉の脱出を許してしまい、彼は半端な生体封印では抑えきれないため、右園死児化した車両を改造して檻に流用する。


綿野 健
軍警備隊隊長(『まどいの巨人』時)→都警有害宗教告発官(『めざめの巨人』時)。
新興宗教『まどいの巨人』の武力鎮圧を行う。
後に、『まどいの巨人』元幹部が羽田電次の支持者を取り込み創設した類似宗教『めざめの巨人』が反社会活動を行い、また、軍収容施設内のまどいの巨人(脳髄)を奪取しようとしたため、武装警備隊が出動して武力鎮圧。
本案件についての報告を行った。
エツランシャ出現後に現れた、『まどいの巨人』『めざめの巨人』の系譜を受け継ぐ終末論者団体である『おわりの巨人』についての報告を行う。
彼らは、金輪部隊を支持しながらも、金輪部隊に入らず、自由意志を保ったまま民間人を襲撃する。
構成員の多くは、生き埋めにされた『めざめの巨人』信徒の家族関係者。
このように、巨人信徒の思想と悲哀に誰よりも触れてきたことから、聖域潜入チームを裏切り、おわりの巨人信徒のほか、日本に滅んでほしい者、世界を混乱したままにしておきたい者、もっと死人が出てほしい者たちに片っ端から情報を流した。
戦闘終了後、雪村によって身体の3分の1を破壊された状態で、懲罰として独房に閉じ込められている模様。
その中で、国の犠牲になる人を散々見てきて、それらの「痛い」と泣き叫ぶ人々の悲鳴を無視した先に、金輪部隊の世界があったと考え、この国は滅びるべきだと思い、裏切りに走ったことを告白する。


大門 昭久
帝都大学名誉教授。『う俗のみや』について有識者として所見を述べた。
大西のインタビューにおける音声データ(磁気テープ)にて、次のことを述べる。
ただし、この時点で大門自身は故人であり、また、音声データは再生する度に内容が変動する。
  • 右園の姫君の話については、史実(元ネタ)を過分に脚色したものであるため、裏付けがない。
  • 一方で、蛆主宿儺は史実(元ネタ)の方。
  • イザナミイザナギに関係する黄泉の国に関する伝承では、生者の生きる現世を左の園、死者の住まう黄泉の国を右の園という。
 

羽田 電次
テロリスト。政府・軍の右園死児対策方針に反意。一般人を先導して軍収容施設を襲撃。
刀剣を奪取し、同施設監督官を殺害、右園死児化(刀剣による初の人体殺傷例)。
その後、市街地に潜伏。封印用生体七号と戦闘の末、完全破壊したが、刀剣と分離し、無力化。
後に存在洗浄。


鹿田丸 雄三
与党有力者。右園死児対策においては極度の慎重派であり、主に人権的見地から軍部の権限拡張要請をはねのけてきた。
しかし、自身の邸宅で右園死児化現象に襲われ、確保収容された。
書斎には、踏み砕かれた遺体の一部があり、鹿田丸が軍施設を視察した際に窃盗したとされた。
(ただし、この部分については、軍が遺体を利用し、鹿田丸を陥れたものと熊沢が述べている。)
後に、鹿田丸は、複数の素性を乗り換えた、推定180歳の生物であること、内閣総理大臣を経験していること、鹿田丸雄三は偽名であり、坂下藤吉という名の行方不明者であったこと。
また、坂下藤吉の体内に超小型の死児が寄生しており、鹿田丸として言動していた本体であること等が述べられた。


エツランシャ
後述の舞台上に現れた金糸覆面の人物。刀剣を所持。
全国の主要都市及び軍施設に突如として出現した、全30万人の戦闘部隊(金輪部隊)を率いる。
金輪部隊は、ブラインドマンの姿に酷似しており、彼らの装備を金色にした姿をした兵士。
舞台上にて、国内すべてのメディア媒体のカメラの前に映り、視聴したほぼ全国民がエツランシャを右園死児だと確信したことから、その認識が、かつてのどの右園死児案件よりも強烈に、エツランシャを右園死児化した。
エツランシャ自身は自らを、国民の内にも存在する、怒りと憎しみの化身、民意であると称する。
彼は右園死児報告を読み続け、その無機質な、非人情的な文章の中で、あまりに多くの人間の死が一言二言で片付けられたことを断罪する。
また、国民は本当は、右園死児より、政府や軍部など、右園死児に関する些細な疑いをかけられると、いとも簡単に家畜や汚物のように処分してきた、同じ人間たちの方が怖いと感じていると述べる。
国家の在り方を塗り替えるため、国民に金輪部隊として集うことを呼び掛ける。
神谷が持つ刀剣によって心臓を貫かれ、死の間際、神谷と会話を交わす。
その最後、「あなたになりたかった。最後まで人間の側に立つ、強い人になりたかった」と告白した。



(3) 主な用語、事象
右園宮
山野を描いた油絵に端を発し、特定された土地。
神谷がこの油絵の絵の具を剥がしたところ、下から、何百と記し重ねられた右園死児の文字があった。
この山野について、神谷は記憶だけを頼りに8年がかりで特定。
私有地だが土地所有者は永く海外在住。
山野全体からは、平安時代の物品(和鏡が多く、裏面に神仏や赤子の彫り込み)が出土。
『う俗のみや』を含む彫り文字があり、有識者(大門)により、かつての山野の名称か、その所有者の名とされる。
また、神谷及び冴島は、山野を、かつて右園宮と呼ばれた癖地と仮定。平安時代の貴人の住処、墓所とした。
その上で、この風景が南方の丘の中腹から観測されたものと推定し、人工の洞窟状の空間を発見。
土中にて、全長8mほどの生物のミイラを発見。土中に横たわった人間に似た形状の生物を『死児』と呼称。
この時点で、山野の土地所有者は消失。
神谷はその後も調査を続け、山野の滝壺内に人工的な階段を発見。その先に約20階分の縦穴状空間が存在。
穴の底は、死児の死骸が堆積しており、カタコンベとなっていた。
その更に最下層には、石の社が存在。それは、蛆主宿儺の社の特徴に酷似しており、さらに、社の中から、報告七号ジュークボックスから流れた曲と同じ歌が聞こえた。
社内の鉛色の空間には、右園の姫君がいたが、神谷により破壊されたものと思われる(報告の記述が曖昧)。
カタコンベは、滝壺と周囲の地形を爆砕し、死児の堆積死体層を地底深く圧殺封印(爆破封印)することが軍上層部によって決定され、予定どおり実行された。


刀剣
静岡県の解体中の民家から発見。茎の部分に右園死児の銘が刻まれていた。
脅威度の測定のため、実験を行ったところ、6度の素振りでブラインドマンの血圧が消滅。
藁斬りを行うと切断した藁から白煙が上がり、9秒後に発火。
刀剣には、別個体の右園死児を効果的に破壊する機能があるとされた。


遺体、歩く遺体
戦前に封鎖された都市下水路に侵入した地方紙取材班が遭難後、死亡。
死亡した人間(?)が白骨化した遺体となって追跡してくる。
遺体を損壊すると、損壊した部位と同じ身体部位を喪失する。
長らく軍収容所にて監視システム下にあったが、金輪部隊により収容所が襲撃されたために解放され、大西の元に移動。
軍キャンプに引き渡された後、『おわりの巨人』信徒に襲撃され、最後の骨片が踏み潰された。
すると、骨片を踏み潰した信徒の全身骨格が衣類と肉体を突き破り自立。大西の周囲を徘徊する。
この全身骨格は遺体と同じダメージ交換性質を持つ。また、ダメージが蓄積し行動不能になると、最後の攻撃者、あるいはそれに類する者の骨格が乗っ取られ、新たな活動個体となる。
全身骨格(歩く遺体)は、大西の半径20~30mほどを徘徊し、決して大西の視界に入らないよう立ち回る。


遺体(大型)
第三千歳空港内に自然発生した、全長約6mの人骨。
遺体と異なり、損壊すると、対応する身体部位ではなく全身が瞬時に破裂する。
火麻谷一郎の長男。



米国へ向かう民間機を撃墜し、残骸から乗客を捕食していた。
半透明の翼長約15mの生物。
緊急発進した軍用戦闘機『霧雨』三機により攻撃を受ける。
攻撃により右翼を喪失した後、最終的に海中に没し、再浮上しなかった(海底にて死亡)。
本体は行方不明となり、損壊した右翼のみ回収され、軍収容施設に移送。
火麻谷一郎の子どもの一人(売春婦から見て(おそらく)弟)。


錯乱者の手記
明石松吉(民俗学者)による手記。
平安時代の右園宮に関して記述されているが、軍によって、内容は神谷や冴島の報告に感化された創作とされた。
筆者である明石はその後右園死児化し、焼却処分される。
内容は次のとおり。
とても位の高い貴人が天園という邸宅に住んでおり、そこから臨む山野のうち、特に美しい山2つを右園、左園と称した。
右園には貴人の娘、左園には貴人の妻が住んでいた。
右園の娘は賢く美しく、右園の姫君と人々に呼ばれ愛されていた。
しかし、貴人が夜な夜な右園に通い、姫君と睦み合うため、奥方から非常に憎悪され、遂には刺客を差し向けられる。
刺客によって右園の姫君は二度と表に出られぬ体にされ、身籠っていた子も流れた。
しかし、貴人が姫君のために右園へ住処を移し、愛し続けたため、奥方は再び憎悪し、…(記述が不明瞭)。
姫君に憎悪はなく、父母のために身を投げ出し、命を落とし、腐り果てた。
右園にはただ死んだ子らだけが残り、ち(血?)を伝えた。


神像(汚染集合体)
金輪部隊が軍収容施設から奪取した、まどいの巨人、死児、刀剣、羽田電次の解剖標本、蛆主宿儺と村人の冷凍死体、遺体(大型)、スパイ・リヨンの死体、蛆虫、鳥の右翼により構成される。
首都最大の建造物である空中電波塔(スカイコード)屋上に、金輪部隊によって舞台が増設され、舞台中央にこれらの汚染体を集積し、オブジェ状に組み上げたもの。
軍部が長年にわたり厳選してきた最悪レベルの重要汚染体のエッセンスとも言え、それらが一切の封印をされていない状態であることから、右園宮を超え得る威力を持つ災害誘引聖域と化した。
エツランシャが海外に向けて右園死児報告、820点の関連資料、自身の声明と現在の首都映像を公開したことから、それぞれの国家がそれぞれの行動を起こし、日本に向けて核が使用された。
しかし、核弾頭は日本に肉薄したものの、細かな隕石群の直撃を受けて海洋に墜落(報告一〇号の彗星と思われる)。
災害誘引聖域内は、神像、エツランシャ、空中電波塔そのものの災害誘引力が作用しており、その効果の発現形態の一つとして、死亡して腐敗を始めた金輪部隊のヘルメットから肉色の蛸の触腕のようなものが複数露出することがある(金輪部隊変異体)。
変異体は腐敗した肉体を触腕で引き摺り移動する。