あお くろ ぎんいろ。

ぽつっと、ひとりごと。 たまに、しゅみをつめこんでみる。

2025.12.28_劇場版『緊急取調室 THE FINAL』がめちゃめちゃ最高だったよ感想(ネタバレあり)

 

 

 

 

 

こんばんは。

こんにちは。

 

 

劇場版『緊急取調室 THE FINAL』を観てきました。

いや〜……12年間の重みがあるからなのか何なのか、もう近年稀に見るレベルで、最高級に良かった。

意地、プライド、信念、そういうものを貫くキントリメンバーのチームワークに何度も泣いた。

そして、派手な銃撃戦やアクションではなく、あくまで取調室という密室の中で、被疑者と向き合い、言葉の力で真実を明らかにする。

映画という壮大なスケールを求められそうな媒体でも、あくまでもドラマシリーズからのその芯が一貫していて、それでいて、決して画面映えしていないわけじゃない。むしろ、どれだけ長く画面を観ていても決して飽きない、ぐいぐい惹き込まれる。演出、脚本、音楽、役者さんのお芝居、それら全てがそうさせるんだろうな。

もちろん、台風直撃による国民の安全の危機や、タンカー処理といったものはあるけれど、そこは総理の姿を際立たせたり、25年前を思い出させる舞台装置であって、VFXを見せつけたい!災害!爆発!最新技術!というわけではないと思った。

この作品が持つ、独特な魅力の大きさを、改めて認識しました。

久しぶりにパンフレットまで買っちゃったよ。大切にします。

 

ということで、いつものように長文になりますが、感想を書いていきます。

あらすじを逐一書きはしませんが、鑑賞済みを前提とした感想を軽率に書き散らしていくので、ネタバレ注意です

 

 

 

先に、真面目な方の感想から書いていきます。

 

いや〜……改めて、本当に良かった。

一度、上映延期となってしまったけれど、本来なら10年間で終わるはずだった、この大好きな作品がもう一度、ドラマシリーズまで制作してくださったのだから、もうファンサービスでしかない。

制作側からしたら、第5期から緊急取調室を知った人でも、劇場に足を運んでもらえるように、という意図があったのかもしれないけど、にしても、第5期も非常に緻密な構成の充実したシリーズでした。なので、本当に本当にありがとうございましたと申し上げたい。

そして、この12年間という長きに渡ったシリーズを締め括るに相応しい、まさに有終の美を飾るに相応しい、劇場版でした。

これだけ名残惜しくて、でも素晴らしかったと拍手できる『THE FINAL』と銘打たれた作品は、なかなかないと思う。

最後に、梶山管理官が「このメンバーで招集されることは二度とありません」と仰ったので、あぁ、本当の本当に最後なんだな、と寂しくなりました。

 

劇場版でのゲスト出演となった石丸幹二さんも、佐々木蔵之介さんも、本当に素晴らしかった。

石丸さんの演じる長内総理は、「ずっとクリーンに、真っ白に気高く生きてきたのに、過去にたった一つ、消せない黒い染みがあった」という感じがした。

石丸さんのお芝居、立ち居振る舞いで、長内総理の言動にとても説得力を感じました。

菱やんが言っていたけど、当時のことを話させても、「本人にも分からなくなっている」というのも頷けた。しらばっくれているのか、本気で言っているのか、本人にすら分からない。それほどまでに、その生き方を徹底してきたんだろうな。

最後は、当時海に消えた彼の着衣の色である、黄色。晴れた空のようなスーツの中に締めた、その黄色いネクタイにギュッと触れたところに、長内総理の胸中を察しました……

ドラマシリーズのときは、こういう気高さというより、胡散臭い笑顔〜という感じがしていて、その印象とのギャップも大きくて。

あと! 真壁さんに注いだ白湯を、パーーン!と弾き飛ばすところ! さすがミュージカルや舞台でご活躍なさる俳優さんだけある(?)のか、めちゃくちゃ迫力あったし綺麗に弾き飛ばされてたな。

佐々木さんの演じる森下も、最初の取り調べではめちゃくちゃ怖かったけども、彼の抱えてきた25年間を垣間見て、そして何故今になって、25年も前の事故のことを明るみにしようとしたのかを考えて、涙が出ました。

25年間がどれだけ長かったのか、森下にしか分からない。けど、それだけの途方もない時間、ずっと事故のことを引き摺り続け、毎年命日には手を合わせに来て、そして自分の死を前にして、正しく裁かれようとした。彼にとっては、決して25年「も」前のことじゃなかったんだろうな。

病室で必死に、手を震わせながら合わせた姿に、胸を打たれました……

そして、森下は本当に「断罪したかったわけじゃない」んだろうなと思う。長内が総理という立場上、ああいう手段しか取れないと思い詰めたんだろうけれども、25年ぶりにようやく、嵐の海から帰港できたんだな……

ところで、佐々木さんの机バシーン!で小日向さんが2回もビクッとなったお話、めっちゃ面白かったです。でも確かにそうだよね、やられると分かっていても、身体が反応しちゃうよな。

 

そして、真壁さんの亡き夫、真壁匡さんと、その裏金問題で全ての罪を被った郷原刑事部長が、まさかここで登場するとは!! 山上さんや鬼塚さん含め、もうオールスターじゃないですか!!

特に郷原さん、もとい草刈正雄さんにはびっっっくりしました。短い出番ながらも、その重みがね。めちゃくちゃにずっしり。

しかも、「可視化されていない部屋だからこんな芸当ができるんだ」と、皮肉まで効いている……すごかった……

そして、真壁さんの娘、奈央さんも良かったなぁ。

彼女が何故東京消防庁に入庁したのか、も含めて彼女の今の姿を見ることができたし、彼女から母に「何で警察官続けてるの?」という問いかけをさせ、さらにあのタイミングでの真壁さんの答え。匡さんが「後悔していないと信じているから」。泣いちゃう。

 

最後のクレジットに「Special Thanks 大杉漣」。ぐっと来る……エンドクレジットに、善さんのカット多かったしね!

途中、皆で円陣を組んで「うぇーーい」ってするとき、控室の椅子が一つだけ、引かれていなかったのは偶然なのかな。

ほかの椅子は、元に戻す動作があったけど、まるで善さんがそこに座っているように感じられて、円陣に加わっているようにも思えて、勝手に感じ入って泣いてました。

 

そして安定のモツナベコンビね!

パンフレットで、鈴木浩介さんが「山上が入っての『モツナベヤマ』。もう、力士感まで出てますから(笑)」と仰っていましたが、確かにまさかのトリオになってましたね。

でももう、キントリが12年も続いているということは、このコンビも12年続いているということで。相変わらずのばっちり息の合った、夫婦漫才のような掛け合いで、見ていて本当にほっこりしましたし笑いました。

モツさんは威勢が良くって可愛らしいし、ナベさんはしっかり頼れる。

基本はそんな感じなのに、ふとした瞬間、あのモツさん左遷事件を思い出して、お互いへの信頼の深さを改めて感じて、胸が熱くなります。

 

野間口さんと比嘉さんはスペシャルドラマからの参加(だったはず…)でしたが、今回も、キントリメンバーの一員となり、本当にいいチームプレーを見せてくれたと思います。

春さんと菱やん含めたお芝居には、まんまと騙されていましたが(笑)

野間口さんは、胡散臭い役をなさることも多くて、そこも大好きなのですが、公安の尾行をやり過ごしたり、車両に指紋をつけたり、うわぁ馴染んでると思ってしまいました。違和感が全然ない。普段もやっていそう(やってません)

比嘉さんの、あの雨の中ワイパーで拭ったら公安の影が消えるの怖いし、直後に窓バンバンバン!てやられたら誰でもびっくりするよな……あそこだけ普通のホラーだった……

事案を降りてからも、総理の警視庁視察において、動線を巡って後方支援していて良かった。「頼みました、先輩」にぐっと来た。

 

挙げ出したらキリがないのですが、あとは何より、「総理を取り調べる」という荒唐無稽な筋書き、間違えれば、現実味を欠くと言われかねない筋書きを、どのように「有り得る」と納得できるラインに落とし込むのか。ここは本当に、脚本、演出の素晴らしい手腕だなと思いました。

シリーズを手掛けてこられた、常廣丈太監督、井上由美子さんのすごさだなぁ。

そして、正義の在り方って難しいよな、と改めて思った。

真っ白な存在って、実際にはそんなに居ないかもしれないけど、でも、正義の味方であるべき警察官、その組織のトップである内閣総理大臣は、絶対に正しい存在であるべき。そうでないと、その下で働く警察官たちの正義までもが揺らいでしまう。なんかな、うまく言えないんですけども。

加えて言えば、今回も、「人間は多面的な存在であること」がよく描かれていたと思います。一概に良い人、悪い人なんて居るわけなくて、誰しも色んな面があって、グラデーションで、なんだろうな。

緑黄色社会の『LITMUS』のメロディが思い出されました。

あと音楽と言えば! 林ゆうきさん!! 今回も完璧だし今回も凄かった!!!!!

音楽と場面を違和感なく合わせるだけでなく、物語の没入感を高め、感情を揺さぶる。そんな難しいことを、鮮やかになさっている。

今までとんでもない数の作品の、とんでもない量の音楽を手掛けてこられた林ゆうきさんが、今回もとんでもなく素敵な音楽を作ってくださいましたよ……これは是非、劇場の音響環境で聴いていただきたい。

今回もサントラ買おう……

 

 

 

ここからは、まともではない感想を書きます。真面目な文章を希望される方におかれましては、ここで解散!

 

梶山管理官!!!!! たい焼きをしっぽから食べる派かぁ……とかそんなのはどうでもいい!!

真壁さんと相合傘してたときね、真壁さんが雨に濡れないよう傘を配慮してて、無言の気遣いにグウッ!!と撃ち抜かれました。梶山さんの背広の肩だけ濡れてんよぉ……

あと、真壁さんと2人で首相と面会したとき、「処分は免れんだろうなぁ……」と唇をほぼ動かさずにぼやくの、笑いました。ドラマで、副総監とテレビ通話したとき、皆で同じようなお芝居をなさっていたけれども、皆さん上手いですね!?!? 真壁さんが歯を見せた笑顔のまま喋ってたのもすごいと思ったけど、皆さんお上手……

森下の取り調べ映像を、副総監に取り上げられそうになって、管理官が味方になったと判断した途端に彼の背中に隠れる真壁さんも可愛い。管理官を盾にしてる。

梶山さんは、出世欲の塊と言われていたし、確かに匡さんの事件まではそうだったんだろうけども、キントリメンバーと仕事をしていくうちに、変化していったんだろうね。

だからこそ、今回のように処分覚悟でも、(緊急取調室取り潰しとかにならない限り)真壁さんの好きなようにさせてあげるんだろうなぁ。

前の前の記事冒頭で書きましたが、第5期最終話の、真壁さんとの関係性の変化で悲鳴が出ましたけど(歓喜の悲鳴)、映画ではそれ以上の進展が無くてしょんもり……仕方ないので、好きに想像します!

 

で、副総監ですよ!!!!!

「いやいやいやいや……」ってこんなバリエーションあるの!?!?って笑ったし、可愛すぎて、「副総監&大倉孝二さんの可愛いバロメータ」がまたも記録更新しました。新記録達成です。

航海日誌を見せられて「私は見ないぞ」からの、梶山管理官に抱き締められ、いつもの否定の「いやいやいやいや」ではなく、嫌がる子どもが悲鳴を上げる「いやいや」になってて可哀想可愛過ぎた。劇場で、可愛らし過ぎて「ぐぅ……っ!」って呻いたの初めてだった。

しかも最後、「いや〜……っ」って声裏返りながら、そ……っと日誌持たされてたしね(笑)

パンフレットにもこの場面写がしっかり収められていました。チョイスセンス最高です。宝物にします。

そして、総理に交渉するときの、硬い表情に伝う汗一筋とかね。最後、警視総監に名札グッ!とされてたのもね。この方も、「Open the Door」とか言ったせいで(おかげで?)、散々苦労なさいましたね……でもそこには、副総監なりの信念があったんだろうな。

最後の円陣には磐城さんは居なかったけれども、歴代部長たちのキントリに対するスタンスとは明らかに異なるし、パンフレット口絵の中には居るし、スペシャル座談会にもいらっしゃるので、磐城さんも間違いなくキントリメンバーの一員だったんだと確信しています。

大倉孝二さん、本ッッッッッッ当にめちゃくちゃ大好きなんですよ。嫌味な役、シリアスな役を演じていても、そことコミカルさが両立している。すごい役者さんだと思います。

緊急取調室を忘れないという気持ちの中に、真壁さんのボールペンを怒りながら齧ってた磐城さんの姿も、しっかりとあります!!

 

そして、小日向さん、でんでんさんは詳しく触れていませんが、もちろんこの御二方も素晴らしかったです!!

特番にて、でんでんさんが「親戚以上に親戚」とキントリメンバーを表現なさっていましたが、皆さんの結束の強さは、画面越しにもビシビシ伝わってきていました。

小日向さん、でんでんさんの代表作の一つだと、個人的には間違いなくそうだと思います!

 

緑黄色社会の主題歌『さもなくば誰がやる』も素敵だった。

緊急取調室という作品に対しても、そのメンバーに対しても、そして観客に対しても、力強く背中を押すような、ポップでありつつもメッセージ性の強い、最後を締め括るに相応しい曲だったと感じました。

買おう……

 

 

 

ここからは、本当の蛇足。

 

『緊急取調室』という作品が、12年という長い時間の中で、ドラマ5期、スペシャル2回、劇場版、と何度も映像化されたこと。さらに、刑事ドラマという、ある意味、事件→捜査・推理→解決、と典型の展開になりがちなジャンルであったこと。

それでも全く飽きずに、むしろ何度観てもどの回も印象深く、強く惹き込まれる作品であった理由を自分なりに考えました。

その理由の一つは、ともすれば、アニメでもありがちな、主人公(やその相方)がとにかく強くて、「◯◯さんが来てくれたら事件解決だ」というような、ある種デウス・エクス・マキナになるような構成ではなく、終始一貫して、チームワークの強さを見せてきたからだと思います。

事件関係者を含め、一人一人に異なるバックボーンがあり、価値観があり、考え方がある。それらがそれぞれの事件を通じて、あるいは共に過ごすうちに、異なる化学反応を示す。人間ドラマの深みと面白みが詰まっていたんだと思います。

それに、取調室という密室を主戦場にして、被疑者を恫喝するのでなく、真っ向から向き合い、言葉の力で真実を明らかにする。

それは、相手が総理であっても変わらない。何故なら、「被害者が居るから」、たったその1点。そして、とてつもなく重みのある1点。キントリメンバーのプライドを感じます。

そこが、独特の魅力、その理由の一つだったんじゃないかな、と思いました。

 

 

 

あと、これは本当に好みの話なのですが、年末の邦画として先に『ラストマン』を鑑賞し、その感想も前の記事に書きました。

『ラストマン』がエンタメ、『緊急取調室』は人間ドラマだという感じがした。どちらが面白いとかは好み。

自分は、『緊急取調室』が本当に面白かった。

ずっと宝物のように、いつまでも忘れない作品だと確信しています。

是非鑑賞してください!!!