こんにちは。
前回記事のような不思議な出来事を乗り越え、何とか日々を過ごしています。
映画『ファーストラヴ』の感想です。
自分にしては珍しく、ほかの人と一緒に映画を観に行ったのですが、その人とも解釈が違っていて、面白い作品でした。
あと、とにかく堤監督作品が大好きなのですが、あの独特のカメラワークが今回も素敵でした。
ミステリかなと思っていましたが、気付いたら泣いていた。
さて、これから先は結末までのネタバレを含む感想しかありません。毎回書いていますが、自分の備忘メモなので。
作品の結末を知りたくない、という方は、今すぐこんなページは閉じて劇場でご覧ください。
また、拙い文章を見たくない、洗練されたレビューを読みたい、という方も、ここまでお読みいただきありがとうございました。ほかのページを検索なさってください。
さて。
前回の「感想を掲載できない」事件があり、作品の時系列を書くのではなく、人物ごとに書いていくことを試してみたら、無事掲載できたので、今回もこの形を採用したいと思います。
ということで、登場人物ごとに突然、作品の結末(ネタバレ)が出てきます。
なお、原作は未読。
あらすじは公式HPへ。
※「→」から先が感想です。
●真壁 由紀
・小学生の頃、車のダッシュボードから、父親が撮影した下着姿の少女たちのポラロイドが大量に出てくる。
当時は意味が分からず、忘れようとするが、そのフラッシュバックに大人になった今でも苦しんでいる。
→これ、なんでわざわざ分かりやすいダッシュボードに入れていた(しかも「何かありますよ」と言わんばかりのカード?が覗いている)のか謎だった。普通は隠しておきたいものなのでは…? 娘にそれを見せたかったとして、それで何がしたかったのだろうか。よく分からなかった。
・塾の迎えに父親が来たとき、父親が周りの女子たちを見る目や、(父親の目を避けるように風呂場で着替えていた)由紀を見る目に、写真の意味を薄々感じ取っており、また、父親の目を怖いと感じていた。
・成人式の日、母親から、父親は海外出張のたびにフィリピンで少女を買春していたことを告げられる。写真の記憶と明確に繋がる。
→ここでの母親の目が怖い。しかし、何で言った?「あなたも大人になったし、男ってそんなものよと教えておきたかった」と言っていたけれども、自分が負った傷を子どもにも見せびらかして、同じような傷を負わせて、何がしたかったのだろう。由紀の両親の心情は今いちよく理解できなかった。
・環菜の担当弁護士である庵野迦葉とは大学時代の同級生であり、大学3年生のときに出会って、一時付き合っていた?(告白したりといった関係はない)
・セックスの流れになった際、自分を見ていた父親の目と迦葉が重なり、拒絶する。「経験が2桁余裕であっても、こういうことってあるんだな」というようなことを言って、キスをしようとする迦葉に対し「それはセックス依存だ」と言い返し、首を絞められる。
・その後、迦葉の兄である我聞の個展に訪れ、外国(イラク?)の父娘の写真を見て泣く。我聞と知り合う。
・迦葉に対しては、自らの過去を告白しているが、我聞には言っていない(迦葉との関係も言っていない)。そんなことを話したら、「気持ち悪い人間だ」と思われてしまうことを恐れている(迦葉からは「気持ち悪いのは由紀の父親だろう」と言われているが)。
・環菜の過去を調べていくうち、こうした自らの過去と重ね、環菜にのめり込んでいく。
彼女に自らの傷を開いてみせることで、環菜から本心を引き出すことに成功する。
・環菜が罪状認否を翻したことについて、取り合おうとしない迦葉に対して「彼女を本当に救おうとしているのか」「今、彼女の言っていることを聞いてあげないと」と訴える。
しかし、迦葉に「環菜を利用して自分が救われたいだけじゃないのか」「我聞に自分の過去も話してないだろ」と言われてしまい、ショックで迦葉の弁護士事務所を飛び出した直後、車に撥ねられる。
→ここでの由紀の目アップのシーンが、堤監督的だなと(勝手に…)感じました。
・病室で、我聞に自らの過去を打ち明ける。
また、迦葉とのことも打ち明けようとするが、「知っていた」と遮られる。
・作品の最後、迦葉から、環菜の手紙(由紀と迦葉あて)を読む。
→全体的に、北川景子さんの棒読み具合がものっすごく気に掛かって、あんまり頭に入ってこないというか、共感などはできなかった。
一緒に観に行った人「最初はものすごく気に掛かってたけど、あんまり美人すぎて途中から気にならなくなった」
そう。それは確かにそうだった。しかし、美人すぎて、あんな美人が大学の構内で一人ぼっちとかあり得るのか…? 本人の好悪に関わらず、人目を引いてしまいそうだけれども…と、視覚的な説得力が薄い気がした。
観賞後にUruさんの主題歌のMVを観ると、また感動がひとしおだった。
我聞さんの包容力が凄すぎた。もはや料理の上手い聖人(職業:写真家)だろう…。
●庵野 迦葉
・我聞の弟。我聞は写真家であるが、由紀と結婚した現在では、父親の写真館を継いでいる。
・実の両親は行方不明。母親は「どこかで生きてるんじゃないの? 5番目くらいの旦那と」。
・10歳の頃、母親が蒸発して餓死しかけていたところ、叔母(母親の姉)に拾われ、我聞たちの家で育つ。そのため、兄弟だが名字が異なる(我聞は真壁、迦葉は庵野)。
・我聞のことを話すときは、目がとても優しくなる。
・兄のことを「人の善性を信じきっているような」人物だと語る。
・子どもの頃、我聞から「迦葉は頭がいいから、医者(だったっけ?)か弁護士になるといい」と言われていた。
・由紀とともに環菜の事件を追う。
・大学3年のとき(法学部。由紀は文学部心理学科)、見掛けた由紀を「色気のある女」(正確に覚えていませんが…)と思い、ナンパする。自らの過去を彼女に打ち明ける。
・由紀とセックスしようとして拒まれた後、我聞から彼女として紹介された際、初対面のふりをする。
・由紀が車に撥ねられ、運ばれた病室での彼女と我聞の会話を立ち聞きする。
彼女との関係、そして彼女に対して抱いていた感情を、我聞には伝えていた。
我聞の口から、それが語られる。
「大事だったけど、恋愛感情じゃなかった。それがどれだけ特別なことか、由紀に伝えようとしても伝えられないだろう」
・由紀が単独で取材し、被告側の証人となることを断られた小泉を、証人として法廷の場に呼ぶ。
・環菜が公判の途中で殺人の否定に転じたことについて、法廷の場で無罪を主張した。
・作品の最後、我聞の個展で、『僕の原点』という写真の前で足を止める。そこには、真壁家に引き取られて最初の正月に、自宅前で撮った家族写真。最初はまったく笑わなかった迦葉だったが、我聞にくすぐられて笑っている表情が、そこには写っていた。
→ 迦葉、凄かった。由紀に抱いていた感情の台詞、重たくてめっちゃくちゃ大好きだな。
弁護士として有能だし、お兄ちゃん大好きだし、由紀へのフォローや配慮も忘れてないし。凄いな!?
あと、公判で証拠を掲出するとき、指サックみたいな金属をカチッとしてたんだけど、マジシャンみたいで格好よかった。今の裁判はあんな感じなんだろうか。優雅な所作だなあ。
●聖山 環菜
・警察の聴取に対し、事実は認めるが「動機はそちらで見つけてください」と言ったと報道される。
・面会に来た由紀に対し、「動機はそちらで見つけてください」とは言っていない、動機は自分も知りたいくらいだ、と言う。
・元彼の大学の先輩の証言が週刊誌に掲載されるが、環菜と彼の主張は食い違う。主にセックスに至る経緯などが異なっていた。
・由紀の「自分から好きになった人はいるか」という問い掛けに対し「裕二くん」と口にする。彼はコンビニの店員で、子どもの頃、怪我を手当てしてもらった。大きくて優しい手が好きだった、と語る。
・左手首から肘までにかけて、たくさんのリストカット痕がある。その中には、まだ新しい、赤い傷も2,3本あった。普段は長袖を着て、それらを隠している。
→新しい傷が分かりやすい伏線だなあと思ったし、この段階で結末の推測がある程度できてしまったので、もう少し引っ張ったりとか…いや、できなかったか…。
・小学4年から6年生までの間、画家であり大学教師である父親のデッサン教室で、モデルとなっていた。しかし、自分の両脇には全裸の男性(大学生)がいることや、父親が男しか弟子に取らないため、7,8人の大学生たち、そして何より父親から長時間見つめられ続けたこと、ときどきデッサン教室の後に飲み会が行われ、大学生たちから触られたりいろんなことを言われたり、そしてその場で助けるべき父親が何もしてくれなかったことから、モデルが心底嫌だった。しかし、逃げ出すたび連れ戻されていた。
・母親は助けてくれなかったのか、と問われても、「母は父に恩がある。ちゃんとできない私が全部悪いんです」と言い張る。
・元彼(大学の先輩)や小泉とのセックスに対して、「いいよ。私、慣れてるから」と笑顔を浮かべて嘘を吐いていたことについても、「私一人が我慢をすれば」という考えだった。男性に対しては、過去のこともあり、結局体が目的なんだろう、という目を向けている。
モデルをしていた頃、自分に嫌気が差して自傷をしたところ、父親から「醜い。傷が治るまで人前に出るな」とモデルに出ないことを許される。
そのため、環菜にとっては、血を流すことが、モデルから解放されること、つまり許されるための、唯一の術だった。
・父親の刺殺は、殺したのではなく事故だった。
アナウンサーを志望しており、事件当日、面接を受けた。しかし、面接での試験官たち(全員男性)の目が、デッサン教室のときの男子学生たちの目と重なり、環菜にとっては、面接会場はデッサン教室と同じだった。
面接はうまくいかず、ちゃんとできなかった罰として、帰りに包丁を購入し、リストカットをする。そして、その傷を父親に見せるために(=許してもらうために)、父親に連絡を取り、彼の職場である芸術大学に向かう。
傷を誰にも見られたくなかったため、女子トイレに隠れ、そこに父親を呼び出す。
やってきた父親に傷を見せたものの、「そんなことは、とっくに子どもの頃に終わったものだと思っていた。母親に連絡する」と怒られ、電話されそうになる。
母親には、最初にリストカットしたとき、傷を見せた際に「気持ち悪い」と言われたことが心に焼きついていた。
そのため、連絡されたくなくて父親と揉み合いになった際、掃除のため濡れていた床で父親が足を滑らせた弾みで、持っていた包丁が誤って刺さってしまう。
・床に倒れた父親の見開いた目が、幼少期に恐れていた父親の目そのものであり、どうしていいか分からなくなってパニックに陥り、その場から逃げ出してしまった。
・逮捕当時、自らが父親を刺したと供述したのは、母親に言われたから。
父を刺してしまった後、帰宅して母親に「お父さんに包丁が刺さった」と告げた。
しかし、母親は「包丁がひとりでに刺さるわけがない」と言ったため、それであれば自分が刺したと供述することになった。
・地裁で無罪を主張したものの、判決は懲役8年。父親刺殺までの経緯は、計画的犯行と判断される。幼少期については、情状酌量された。
・判決を受け入れ、刑務所で刑務に服する。
理由は、重傷を負った父親に対して「一瞬、ほっとしてしまった」から。そして、そんな父を置き去りにしてしまったことの罰を受けたいと思ったから。
手紙の文中で、由紀と迦葉に感謝を述べる。
自分の悲しみや不安、苦しみを、これまでは口にしてはいけないと思っていたが、公判を経て、言葉にしていいのだと知ることができたから。
また、世間からの注目が薄れ、この事件に関する由紀の著書の発行が延期になったことについて、それなら、いつか自分で自分のことを書いてみようと考えている。
「自分の感情や気持ちにもよく分からないところがたくさんある。それを見つめていきたい」と青空を見上げる。
→芳根京子さんの演技が終始好きだったのですが、特に面会室で長袖を着て平泳ぎのような仕草をしているときや、暴れているときが好きでした。
●聖山 昭菜
・環菜は、那雄人と血が繋がっていない。
・デッサン教室が開かれている間、那雄人からは「邪魔からどこかに行っていろ」と言われており、外出していた。
・海外に一人で行き、帰ってきた際、当時小学4年生だった環菜からリストカット痕を見せられる。「気持ち悪い傷。見せないで」と言ったため、環菜は咄嗟に「ニワトリに襲われた」と嘘を吐く。
・話を聞きに来た由紀と迦葉に対しても、ニワトリに襲われた傷のことは知っていると言う。
・原告側の証人として証言台に立つ。
・デッサン教室中は外出していたにも関わらず、大学生たちは「皆いい子」で「環菜を不愉快にさせるような言動をしたなんてことはあり得ない」と証言したため、その矛盾を迦葉に突かれる。
・判決後、裁判所のお手洗いにて、手をしきりに洗っている(潔癖症?)。
そこに偶然やって来た由紀に、左手首に、環菜と同じようなリストカット痕があるのを見られてしまう。
傷を長袖で隠し、足早にその場を立ち去る。
→このリストカット痕の解釈がなあ。ある程度前の傷痕のように見えたので、昭菜も、実は環菜と同じような子ども時代を過ごしていたということなのか。
もしくは、環菜から相談されたときに娘を助けられなかった(環菜を身籠って一人ぼっちになっていたときに、「君の子どもなら絶対可愛い」と助けてくれた那雄人に恩があるため、彼を止めることができなかった)ことに対する罪悪感から、自らも自傷を繰り返したということなのか。
何だか、この痕を見たときに、昭菜の見方も変わったなあと感じました。
●小泉裕二
・環菜が12歳のとき、近所のコンビニで店員として働いていた。
・コンビニの前で怪我をして座り込んでいる環菜の手当てをして、家に帰るよう促す。
・しかし、21時頃にシフトを終えて帰宅途中、土手に座っている環菜を見つけ、「家に帰りたくない」と言う彼女を、自宅に連れて行く。
・テレビを見たりして、環菜と過ごすようになる。
→『さまぁ〜ずコントライブ3』だった! 何でこのチョイスか分からないけど嬉しかった。
・モデルが嫌だと逃げてくる環菜の避難場所になっていた。
・布団は一組しかないため、彼女と同じ布団で眠っている。ある夜、環菜に手を出しそうになり、彼女から「いいよ。私慣れてるから」と笑みを浮かべる。
小泉曰く「最後まではしていない」が、ある日、そうした行為の最中に那雄人が家に上がり込んできて、環菜を強引に連れ帰る。
自分は、いつ訴えられてもおかしくない、何もかも失うかもしれない、という保身に走り、それ以降、環菜とは接触を絶つ。
その後、一度だけ、環菜が家の前に居たことがあったが、家に上げてほしい(助けてほしい)と泣き叫ぶ彼女を無理やり締め出してしまった。
・由紀から、被告側の証人になってほしいと頼まれるが、現在は妻も7ヶ月になる娘もいるからと断る。問題を抱えていた彼女を救おうと思わなかったのか、と由紀から問われる。
・公判中、(おそらく迦葉に説得されたものと思われる)被告側の証人として現れる。
当時の歳の差を考えれば、普通のことじゃないと検察から糾弾され、何故今さら証言しようと思ったのかと問われ、震える声で「罪の意識」と答える。
今の年齢で、当時の彼女に会ったら、もっとほかの方法で彼女を救えたのではないかと思うから、と。
その言葉に、聞いていた環菜は涙を流す。
→小泉、好きな人物だったなあ。彼の抱えた罪の意識や、男としての身勝手さ、保身に打ち勝って証言する決意。どれも好きだった。
この小泉の言葉が、環菜がすべてを語ることに決めた最後の一押し、きっかけだったように感じました。
最後に、題名の「ファーストラヴ」の解釈です。
一緒に行った人は、「迦葉は由紀に、由紀は迦葉に、我聞は由紀に」のファーストラヴではないかという解釈でした。
自分は、「迦葉は由紀に、由紀は我聞に、我聞は迦葉に」のファーストラヴではないかなと解釈しました。
「ラブ」は「恋」ではなく「愛」だから、「ファーストラヴ」も「初恋」ではなく「初めての愛情」なのかなと。
そういう意味でいえば、迦葉にとっては(彼の言葉どおり)、初めて特別な感情(恋愛感情ではない、大切に想う気持ち)を抱いた由紀。
由紀にとっては、写真を通じて出会い、常に自分という存在を受け容れてくれた(男女の肉体関係を抜きにして、あるいは超えて、受け容れ続けてくれた)我聞。
我聞にとっては、家族になった迦葉(『僕の原点』としていることからも、「初めての愛情」の対象は迦葉なのかなと)。
どんな解釈にせよ、迦葉の「由紀とやっと家族になれた」という言葉は重みが凄くて、好きでした。良かったな、迦葉……。幸せになってくれ…。
本筋全然関係ないですが、由紀父といい、那雄人(環菜父)といい、あの見下ろす目の怖さ、眼球の上と左右が白目になっているやつ、あれは止めてほしい…本当に怖かった。
日本のホラーで、この世のものじゃない存在がよくやってるやつだよ、それ…夢に出る…。
逆三白眼というのか、いや、三白眼でもホラーでよくあるけど、あれ、めっちゃくちゃ怖いです。